2020年7月12日 朝礼拝 『急いで来てください』大賀幸一牧師

ホセア書14:3-4、使徒言行録9:36-43

1)ヤッファのタビタの死 
 今日は使徒言行録9章です。ペトロは各地の教会を訪ねて、皆さんを励ましていました。ペトロは、既にリダという町に来ています。山地にあるリダから地中海方面に降って行くとヤッファという港町があります。ここにも神様の教会があり、タビタという信仰者の女性がおりました。仲間に信頼された良き信仰者です。しかし彼女は病気になり、死んでしまったのです。水害で死ぬのとは違い、タビタの死は、自然なものだったと想像されます。近くにペトロが来ているということが分かり、ヤッファの教会はペトロに来て欲しいと願いました。今日の説教題、急いで来てください、となっていますが、実は急いで、という言葉は元の文章にはありません。決して急かしたのではなく、ペトロに来てタビタのために、教会のために祈って欲しい、それが人々の願いだったのかもしれません。

2)やもめたちがそばに寄って来て 
 ペトロはヤッファの教会にやって来て、タビタと会います。すると数人のやもめたちが現れて、タビタの死を悲しみ泣きながら、いかにタビタが素晴らしい女性であったかを訴えるのです。タビタの指導で作った下着や上着を持って来てはペテロに見せていました。少々可笑しな光景です。ヤッファ教会のやもめたち、夫を失った女性たち。教会が彼女たちの生活を支えていたのです。タビタは、多くの女性たちと共に下着や上着を作っていたのです。当時衣類はとても貴重なものでしたから、大変喜ばれたでしょう。

3)タビタよ、起きなさい 
 ペトロは神様に祈ってタビタは生き返ります。ところが、人々の願いは、タビタの生き返りだったのでしょうか?ペトロが先に訪問したリダでもアイネアが8年間床に着いた状態でしたが、癒され、回復しています。この時にもアイネア自身がペトロに回復を願ったとは記されていません。ここに登場するペトロは、私たちが知るペトロと異なり、まるでイエス様のような存在です。タビタと共に生きた人々は、ペトロに訴えます。いかにタビタが素晴らしい人だったか。下着、上着を見せながら訴えます。この人々の訴えに、涙に、ペトロは動かされています。それは、神様が、私たちの切なる祈りを聞いて、応えてくださるのと同じではないでしょうか。神様は私たちの訴えを、祈りを聞いてくださいます。ただ疑問が残ります。神様は私たちが祈らなくても神様なのだから、私たちの必要を知っているはずではないですか。神様は人間たちをもっと愛し、人間世界に関わりたいして来たことも真実です。神様が働きかければ、人間たちは逃げ出して来たのも真実です。その人間たちが、ヤッファのやもめたちのように下着や上着を見せながら、涙を流して訴える時、神様は私たちに働きかけるのです。人間たちが神様の御手を求めて近づくならば、神様は御手を持って私たちを慰め、祝福してくださるのです。下着と上着を持って神様に訴えかけましょう。私たちは、神様と共に自分たちの人生を歩むことを求めています。たとえ私たちは欠けの多い人間であっても、神様が与えてくださる祝福と御言葉が、私たちの人生を進め、満たし、導いてくださるからです。